看護師として多くのお宅に訪問する中で、ペットちゃんに関する多くの質問を受ける機会がありました。
そういった質問に答えることができるように、多くの書籍を読んだり、知り合いの獣医さんの話を実際に聞くことで知識・経験を深めてきました。
one’s LIFEでは私がこれまで培ってきた知識・経験を元に、ペットちゃんが少しでも幸せに暮らすことができるための情報をご紹介していきます。
床ずれで一番大切なのは「予防」です。
そして、床ずれの予防をしてあげるためには、床ずれに対する知識が必要になります。
さらに、愛犬が床ずれになってしまったときには、適切な対処を行い、床ずれを悪化させないことが重要です。
そこでこの記事では、床ずれの原因や、予防法、対処法についてご紹介したいと思います。
目次
愛犬の床ずれ防止【原因・特徴】
床ずれは、褥瘡とも言われ、同じ部位が長時間圧迫されることで、その部分の血流が滞り組織が死んでしまう(壊死)ことで起こります。
床ずれは、骨が出っ張っている場所や骨同士がくっついている場所に発生しやすく、2〜3時間程度同じ場所への圧迫が続くと、床ずれになる危険が高まります。
床ずれの特徴「見た目の変化」
床ずれの初期とは、皮膚が赤くなり水ぶくれや、アザができる状態のことを言います。
床ずれがさらに進行すると、床ずれ部分が黒く変色(壊死)してしまいます。
床ずれの特徴「老犬は床ずれになりやすい」
老犬の場合は、以下の理由から床ずれになりやすくなっています。
- 皮膚が薄くなり弾力が低下している
- 皮膚が乾燥している
- 栄養不足になりやすい
愛犬の床ずれ防止【予防が第一】
床ずれは一度できてしまうと、治るまでに時間がかかってしまうため、予防することが重要になります。
床ずれを予防するためには、以下のことを意識する必要があります。
- 床ずれのリスク=外力(圧力や摩擦)×時間
床ずれの予防方法「手作りマットで床ずれ予防」
床ずれを予防するためには、外力を分散して、一箇所に圧力がかかることや、摩擦を避けることが重要です。
そのためには、床ずれを予防する環境作りが大切になります。
- 低反発・高反発のマットレスを重ねる
*体に当たる部分が低反発 - マットには滑らかでふわふわな寝具を敷く
- 体が汚れないよう、寝具の上にオシッコシート、防水シーツの順で重ねる
- 骨と骨が当たらないように、前足に抱き枕を入れる
- 頰骨の床ずれを防ぐために、枕を入れる
- 背中歩きで背中が擦れないように、背中と壁の間にクッションを入れる
- 2〜3時間おきに体の向きを変える
愛犬の床ずれ防止【傷の処置に消毒液はNG】
床ずれは、完璧に防ぐことはできないため、どうしても、皮膚に傷ができてしまうことがあります。
皮膚に傷ができてしまった場合には、できるだけ早く傷を治すことが重要です。
とはいえ、傷の処置をするときには、消毒液を使用するのはNGです。
なぜなら消毒薬には、以下のようなデメリットがあるからです。
- 正常な細胞にもダメージを与える
- 正常な細胞が損傷され、傷が治りにくくなる
- 正常な細胞が損傷され、出血しやすくなる
- 正常な細胞が損傷され、痛みが強くなる
- 一時的に細菌が減るが、その後細菌が増殖しやすくなる
傷の処置「壊死がある場合はすぐに病院に連れて行く」
愛犬の床ずれ防止【ワセリンを使用した治療ラップ】
皮膚は、一番上から表皮、真皮、皮下組織という構造をしています。
床ずれというのは、このなかの「真皮」が見えている状態であり、床ずれを治すためには「真皮の修復」が重要になります。
さらに、真皮の修復で鍵となるのが、傷が治る過程で分泌される浸出液です。
この浸出液には、傷を治すための成分が豊富に含まれているんです。
ワセリンを使用した治療ラップ「方法」
- 傷口を水道水でよく洗う
- 傷口周囲の水気を優しくふき取る
- 傷口に白色ワセリンを塗布する
- 床ずれパッドを貼る
- テープで固定する
床ずれパットは、動物病院でもらうことができる創傷被覆材や、自家製床ずれパットを使用します。
*自家製床ずれパット:台所用穴あき水切り袋に、ハサミで切ったおしっこシートや生理用ナプキンを入れてヒートシーラーで閉じれば出来上がりです
ワセリンを使用した治療ラップ「注意点」
以下の場合は、菌が増殖しやすく、敗血症ショックという重篤な状態を引き起こす危険があるため、獣医の指示を仰ぐようにしましょう。
- 壊死している組織が多く浸出液が大量に分泌される場合
- 抵抗力が落ちている場合
愛犬の床ずれ防止【まとめ】
そして、床ずれの予防をしてあげるためには、床ずれに対する知識が必要になります。
さらに、愛犬が床ずれになってしまったときには、適切な対処を行い床ずれを悪化させないことが重要です。
また、少しでも不安を感じたら、すぐに獣医に診察してもらい指示を仰ぐようにしましょう。